エルダー2018年3月号
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2018.320ることはないという。監査のために各部署を回った際には、その部署の社員などと交流することも多い。「内部監査室の人間が来るということで身構えるところもあるでしょうけれど、監査は監査として行い、夜は懇親の場を設定してくれることが多いです。支店長や所長が会議などでいないときは、営業の若い人や事務員とだけで飲むこともあります」太田さんには何歳まで働きたいという考えはないが、仕事のやりがいを強く感じている。「私はこの会社しか知りませんが、いい会社だと思います。実は、60歳になる前は、定年が65歳に伸びたものの、62~63歳で辞めようと思っていました。でも、その年齢になると、まだ働きたいと感じだしました。その年齢になってみないとわからないところがありますが、まずは、65歳まで勤めさせていただこうと考えています。体力的にも問題なく、休みの日には、夏はゴルフ、冬はスキーをしたりして、楽しく過ごしています」総監・技監にさらなる活躍を期待若手・中堅の意識喚起も検討「みなさん健康ですし、65歳に定年を引き上げたことは、多くの社員に喜ばれています。模範になってくださる方が多いので、会社にとってもプラスの影響が大きいです」定年延長について、岡森部長はこう評価する。むずかしいと感じるのは、65歳までは正社員なので、シニアに対して労働時間などの面で配慮したくても、制度的には、柔軟に対応することがむずかしい点もあり、課題が残る。例えば介護などの事情を抱えている場合、自社の介護休暇制度などを活用して仕事と介護を両立できればよいが、むずかしいケースもある。そこで、こうした事情があっても働き続けられるようにするための選択肢が「選択定年制」の活用である。同社は、定年を65歳にする一方で、それ以前に退職したい社員のために、55歳以降の退職者は定年退職扱いとし、退職金も減額しないことにした。この制度によりいったん退職し、そこから個別の労働条件で同社と雇用契約を結ぶことができる。「定年は65歳としたほうが、大多数の社員が安心できますし、働くうえでの意欲も維持できます。一方、それでは働き続けられない事情がある社員は、選択定年制を選んでもらえれば、個人の事情にあわせた働き方ができます」(岡森部長)課題の一つは、将来的に総監や技監に任命されるような優秀な人材の育成・活躍をうながすこと。「築き上げてきた知識やスキルがありますので、もっと率先してがんばってもらうにはどうすればよいかと考えています。技監や総監は、ラインの職制でないからこそ、岡おか目め八はち目もく(当事者より、第三者のほうが情勢や利害などを客観的に正しく判断できること)でとらえてものがいえるので、『こうしたほうがいいよね』と指示ではない形でアドバイスしたり、部下の口からはいいづらいことを上司に伝えたりと、パイプ的役割を果たせます。ただ、どうしても一歩引いてしまうところはあります。技監や総監に任命された責任感は感じていると思いますが、むずかしいところです」(岡森部長)また、今後は、いくつになっても活躍できるように、早いうちからキャリアについて考えてもらうことも進めていく。「現在のシニア社員は、会社の成長とともにスキルや知識を高め、成長してきました。いまは当時のような成長期ではないので、会社側からの働きかけが必要と感じています。これから高齢になっていく30~40代に、そのあたりを意識させ、主体性を高めていきたいと考えています」(岡森部長)

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