エルダー2018年3月号
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エルダー35 柿澤さんは29歳で大和清掃(当時)に入社し、自分が所有するトラックで産業廃棄物の収集・運搬を行う傭よう車しゃをして働いていました。40歳のころ、会社に破砕処理センターや資源エネルギー研究所が新設され、現社長へと代替わりし、現在の社名に変更。その後、62歳でトラックを降り、発泡スチロールを破砕して圧縮減容機で固めたインゴット※を製作する業務につき、一昨年から現在の仕事に変わりました。転向のきっかけは胃ガンを患ったためです。手術を受け、約2カ月の間、療養をして職場に復帰し、現在に至っているといいます。「いま働けているのは社長と先代の温情のおかげ」と感謝する柿澤さんは、「こうして病気になっても、この年齢になっても働いている姿を後輩たちに見せることで、いつまでも安心して勤められる会社だということを示していきたい」と話しました。 髙たか地ぢ春はる彦ひこさん(66歳)は、29歳までトラックの運転手として段ボールを運んでいました。同社に入社してからも、トラックドライバー一本で収集の仕事を続けてきました。 「若いころは熱意を持って一生懸命、仕事に打ち込んでいました」と振り返る髙地さんは、かつて同社の野球部に所属しピッチャーとして活躍。現役選手を引退した後も監督としてチームをけん引してきました。そのため、いまでも「監督」と呼ぶ従業員がいるそうです。 会社にとって欠かせない存在の髙地さんですが、一昨年の10月、胃ガンが発覚しました。手術を受け、職場復帰。再びトラックに乗り仕事を続けていましたが、手術から半年後、今度は肺に転移していることがわかったのです。再び手術を受け、昨年12月に2回目の復帰を果たしました。月〜木曜日の週4日、8時〜15時の勤務をしています。 2回目の復帰は、会社からの要望がきっかけでした。「家で療養するより働きながら治療を続けた方が髙地さんにはよいのではないか、と考え声をかけました」と下別府部長は説明します。しかも「参事」という新しい職種を用意してのことでした。参事は現場のまとめ役として若手従業員とベテラン従業員との関係を円滑にし、現場を支える仕事になります。「30代の従業員は40代、50代のベテランに指示がしづらいものですから、髙地さんに間に入ってもらって、伝えてもらうなどしています」(下別府部長)。取材時も、一人の従業員の問題解決にあたっていると話す髙地さん。「病気をしっかり治し、今後も会社に少しでも貢献したい」と力強く語ってくれました。検査を2週間に1回のペースで受け、投薬での治療に挑みながら働くその姿勢は、若い従業員たちの手本となっています。将来、自分の子どもと働けるような職場に 下別府部長は「もともと当社は中途採用、親戚などの縁故採用が多かったのですが、3年前から新卒採用を行うようになりました。それでも、従業員のお子さんから『お父さんの会社で働きたい』と思ってもらえたら嬉しいですし、そうなるように今後も環境保全に貢献する会社としてリサイクル事業を進め、高齢従業員の職域を増やしていきたいです。そうして将来、子どもと一緒に働けるような会社にしたいですね」と話しました。(取材 西村玲)髙地春彦さんのアドバイスを笑顔で聞く若手従業員。若手とベテランの潤滑油のような存在だ※インゴット…… リサイクルされた製品のこと。配電盤カバーやコンテナなどを置くプラスチックパレットの原料となる

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