エルダー2018年3月号
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2018.32桜美林大学大学院老年学研究科教授渡辺修一郎さん状と課題をどうとらえていらっしゃいますか。渡辺 総人口に対する65歳以上人口の割合を高齢化率といい、高齢化率が7%を超えた社会を「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」と呼びます。日本は2007年に21・5%となり、「超高齢社会」になりました。2017年現在の高齢化率は27・7%です。2036年には人口の3人に1人が高齢者になると試算されています。 社会を維持していくためには、総人口の少なくとも半数が就業者であることが必要ですが、少子高齢化の進行により生産年齢人口が相対的に不足し、労働力不足が生じ始めています。また、農村など地方では、人口減少にともない生活に必要な社会資源が縮小し、人口の流出が止まらない悪循環が生じています。 また、65歳以上の高齢者の家族形態では、単身世帯が18%、夫婦のみ世帯が39%を占めています。これらの世帯では社会との交流が―渡辺先生は長年「老年学」という分野で研究・教育にたずさわっていらっしゃいますが、そもそも「老年学」とは何を研究する学問ですか?渡辺 人間の加齢にともなう現象を総合的に研究するもので、医学や心理学、社会学、経済学、哲学など、幅広い専門分野からアプローチする学際的な学問です。私の所属する桜美林大学大学院は、2002(平成14)年に日本で初めて「老年学研究科」を開設しました。老年学の研究、教育、実践を行う専門機関として、超高齢社会が抱える課題を広い視野で解明・解決できる専門家を育成しています。医師や看護師、介護福祉士など、高齢者に向き合う職業にたずさわっている社会人が主に学んでおり、なかには研究者や実務家ではなく、ご自身の加齢現象について学びたいという高齢者(最高齢は80代)も研究に加わっています。―老年学の見地から、日本の高齢社会の現少なくなると、困ったときのサポートや情緒面での支えが得にくい社会的孤立に陥ります。増えつつある孤独死の多くは、この社会的孤立から生じています。地域コミュニティそのものも、人口減少や昼間人口の減少、住民の頻繁な入れ替わりなどによる活動のにない手不足や住民同士の交流の希薄化により、相互扶助や安全で豊かなまちづくりをになう機能が低下しています。近隣商店街が衰退し、車で郊外の商業施設に行かなければ買い物もできない地域が増えており、高齢者には死活問題となっています。 さらに、高齢者の貧困問題も起きています。高齢者世帯では、年収200万円以下が37・8%を占めていますし、生活保護世帯の51%が65歳以上の高齢者世帯であるという実態があります。―こうした状況を乗り越える解決策について、先生のお考えをお聞かせください。渡辺 2012年に閣議決定された「高齢社会対策大綱」※の基本的考え方は、解決に向けた重要な枠組みを示しています。私なりに大きくまとめると四つのポイントがあります。 一つは、「高齢者は支えが必要な人」とい地域コミュニティの機能低下が高齢者の社会的孤立を招いている※  なお、2018年2月16日に新たな「高齢社会対策大網」が閣議決定された

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