エルダー2018年3月号
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職場づくり職場づくり働ける職場づくりに職場づくり職場づくり働ける働けるで安全健康エルダー39要です。4 ポジティブメンタルヘルスにつなげる 職場では事業の運営上避けられないストレスが発生することもあります。■メンタルヘルス相談事例2 B社はIT技術者が多い会社です。IT技術者も高齢化が進み、60歳を超えた社員は旧型システムのメンテナンスを中心とした定型業務にたずさわっています。一方で転職者も多く、社員の業務歴や心身の多様性に応じた仕事への適応支援を目的に、健診後に面談・保健指導を従業員全員に実施しています。 ある日、新任課長のCさん(48歳)が面談にやってきました。器用ではないけれど、とてもまじめな人で、プレイングマネージャーとして大きなプロジェクトを任されています。しかし、納期2カ月前の時点で月間残業時間が80時間を超え、睡眠不足から心身に疲労が蓄積していることが見て取れます。 面談では、Cさんの本音と疲労状況を整理しました。一度は休職をすすめたのですが、本人は仕事の継続を希望されました。 そこで、Cさんのサポート役として白羽の矢が立ったのが、隣部署で再雇用の元管理職Dさん(61歳)です。Dさんは面談時に仕事が退屈だと不満を漏らしており、Cさんのメンターをになってもらうことで、二人三脚でプロジェクトに取り組んでもらえるのでは、という狙いです。本人と上司と協議し、「残業禁止」と「睡眠時間の確保」を条件にプロジェクトを乗り切ることにしました。 後日、Cさんは「僕は具合を悪くしたけど、休むことなく取り組むことができ、売上げは〇億円増につなげられたんですよ」と報告に来てくれました。Cさん本人はもちろん、Dさんの自信にもつながり、プロジェクトチームの結束も強くなった事例です。【対応のポイント】①Cさんへの対応 疲労とストレス反応、就業意欲や生活状況の整理を保健医療職が行い、プレイングマネージャーの業務の整理と進め方を経営層と関係者が一丸になって進めました。②Dさんと経営層への対応 管理職経験を持つ高齢労働者のやりがいを尊重してメンターの役割とルールをつくり上げたことで、Dさんが意欲を持って適切なファシリテーター※1の役割を発揮できました。③職場全体への対応 CさんとDさんで状況を説明し、業務の仕切り直しの会議を職場全体で行い、協働の相互理解が深まりました。【事例からの示唆】•期間限定ならば、本人の就業意欲と業務の調整と周囲のサポートでストレス反応を軽減できることもあります。•高齢労働者には「定型業務」だけが適しているとは限りません。過去の経験から活かせる独自の能力もあります。•Cさん、Dさんだけでなくチーム全員の目ざす目標と整理されるべき事項が連動して、チームの働きやすさにつながりました。◇ ◇ ◇ 高齢労働者のメンタルヘルス対策は職場のメンタルヘルス対策と基本的には同じです。個人差や要因への配慮のポイントは広範になりますが、全体の「働きづらさの軽減」につながります。高齢労働者の心身の特性をふまえて、その就業意欲に協働者の相互理解による納得感を重ねることで、より効果的なポジティブメンタルヘルスにもつながることがわかりました。※本事例は実際の人物への配慮から、若干の加工を行っています※1 ファシリテーター……中立的な立場から活動の支援を行う役割をになう人

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