エルダー2018年3月号
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きのための研修ではないか」、などという社員までいたそうです。研修のねらいを丁寧に伝え、理解してもらったそうですが、中高年対象のキャリア研修は、そもそも研修の目的が受講生にとってわかりにくいところがあります。企業側から、ただ伝えるだけでなく、一人ひとりに伝わるように、「しっかり伝え」てもらう必要があります。 グループワークに慣れていない人もいるキャリア研修では、グループワークという手法を用いることが、かなり一般的ですが、グループで演習したり、自分自身について考えたり、自分自身について他人に話したりすることに慣れていない人もたくさんいます。ある一定の年齢以上の高齢社員の場合、そのような経験をする機会がなかった人も多いようです。しかし、その一方で、中高年社員は、仕事、プライベートとも、さまざまな経験を積み、人としての幅があります。うまく始めることができれば、さまざまな気づき、変化が期待できます。石川氏は、中高年を対象にキャリア研修を行うときは、若手・中堅向けにキャリア研修を行うときに比べ、日ごろの仕事から離れるための時間をしっかり取り、自分自身に向き合えているかについて、より丁寧に目配りすることを心がけているそうです。 コントロールできる部分があると気づいてもらう石川氏は、役職定年を迎えた方を対象に、キャリア研修を行うこともあるそうです。多くの人が、「まだやれるのに、なぜ自分が……」という気持ちになります。たしかにその気持ちはわかります。しかし、その一方で、そうではあるが、一つの「転機」としてとらえ、これをきっかけにして、これからの人生において何を選ぶか考える、という方もいるそうです。人生には、コントロールできることと、そうでないことがあります。役職定年にかぎらず、これからどう働くかについても、コントロールできる部分もあるし、そうでない部分もあります。一部でもコントロールできる部分があれば、自分らしく働くことができます。ショックなことかもしれませんが、コントロールできる部分がある、ということに気づいてもらうことが大事だ、と石川さんはいいます。 プラスアルファの役割についても意識してもらう役割について意識してもらうことも重要です。最近では、役職を降りたり、再雇用されたりしたあと、再び、一担当者として仕事をすることが求められることがよくあります。そのようなときであっても、高齢社員に担当者としての役割のみを求めているわけではありません。いろいろ知っていて頼りになる人、相談すれば何か助言してくれる人など、その人ならではのプラスアルファのことを求めている場合がほとんどです。研修を受けるなかで、プラスアルファとして求められていることは何か、それに対して何ができるかを考えてもらうことも必要です。次回は、最終回です。今回も含め、キャリア研修について紹介することが多かったですが、キャリア開発支援は、研修にかぎったものではありません。また、この間、ご紹介した会社以外からもお話を聞いています。次回は、それらについても触れつつ、中高年のキャリア開発支援についてまとめたいと思います。生涯現役を実現するためのエルダー43浅野浩美(あさの・ひろみ)1961年生まれ。一橋大学社会学部卒。筑波大学大学院ビジネス科学研究科企業科学専攻修了。厚生労働省職業能力開発局キャリア形成支援室長などを経て、高齢・障害・求職者雇用支援機構雇用推進・研究部長。「65歳超雇用推進マニュアル全体版」などを執筆。博士(システムズ・マネジメント)。※本稿の見解のうち意見に関する部分は筆者の個人的な意見であり、筆者の所属する組織の見解としてオーソライズされているものではありません。

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