エルダー2018年3月号
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エルダー3 二つ目は、老後の安心を確保するための社会保障制度の確立です。高齢者が元気で長生きし、就労による収入を得られる期間を延ばすことは、高齢者自身の生活を豊かにし、社会保障の財政基盤の安定化にもつながります。 三つ目は地域力の強化と安全・安心な生活環境を実現することです。例えば、高齢者が休憩しないで歩ける距離はおおむね700m以内といわれています。先ほど、徒歩圏に商店街がなくなり、高齢者が「買い物難民」化しているという話をしましたが、商業施設だけでなく、医療施設や福祉施設、交流施設などを半径1㎞程度の範囲に集約し、日常生活圏を再構築するコンパクトシティの形成を推進すべきでしょう。また、ICTを活用して高齢者の日々の健康状態を確認できるデータを介護支援事業者などが把握し、適時適切にサービスを提供することができる遠隔ケアの仕組みを確立することなどが、対策の一つとして考えられます。 そして四つ目は、若いころから人生90年代に向けた備えをすることです。健康寿命を長く保つためには、若いうちからワークライフバランスの充実に努め、健康づくりを心がける必要があります。例えば、骨粗しょう症は中年期以降の女性に起こりがちですが、骨量は30歳くらいを過ぎてからでは、増えることはほとんどありません。その意味で、若い女性の「痩せ」志向が過剰に高い現状は、彼女たちの将来を考えると、とても心配です。生活習慣病についてもいえることですが、若いうちから健康長寿への意識を持ってもらうための啓発にもっと国が力を入れるべきです。―いまの高齢者は昔に比べると元気な方が多く、高齢者の定義をもっと高い年齢に引き上げるべきだとの意見もあります。渡辺 日本老年学会・日本老年医学会から、高齢者の定義の見直しに関する提言がありました。以前は「お年寄り」、「老人」は敬意をもって使われた言葉ですが、いま「高齢者」う見方を変え、意欲と能力のある高齢者には、支える側に回ってもらえるような意識改革や環境整備を進めることです。そのために私が重要だと考えるのは、健康寿命の延伸です。人生90年時代という長寿社会が訪れていますが、平均すると最後の7年は自立が失われた要介護状態で生きている人が多いのが現状です。人生の最後まで元気に活動するため、健康寿命を延ばし、元気な高齢者がさまざまな形で就労や社会参加が可能な環境を整備することが必要です。「支えられる高齢者」から「支える高齢者」へ健康寿命を延ばす対策がカギとなる

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