業界団体・県・機構の三者協力で実践型人材養成システムを実現

はじめに

四国タオル工業組合(*注1)では、技能・技術の維持、向上と継承を目的に、平成19年度から、中堅技術者を対象とした「技術研修会」、新たに採用した若者を対象とした「実践型人材養成システム」に取り組んでいます。
その計画・実施にあたっては、四国タオル工業組合、今治高等技術専門校(県)、愛媛センター(機構)がそれぞれの役割・機能を活かした支援を行い、企業の人材育成を実現しました。
組合のこれまでの取組を宇高専務理事に伺いました。

課題は技能・技術の維持、向上と継承

専務理事 宇高福則さん

組合では、他の業界と同様に「熟練技術者の退職に伴う技能や技術の伝承」が課題となっており、タオル製造の技能、技術を次世代につなげる人材育成の一環として、組合の主導により、職業能力を客観的に評価する仕組である「タオルマイスター認定制度」が設立されました。

この「タオルマイスター」が製造技術者の目標となり、併せて中堅技術者を対象とした技術研修会と新たに採用した若い人たちを対象とした実践型人材養成システムを導入することにより、業界全体での技能、技術の維持、向上と継承を図っています。

人材高度化研究会の成果を人材育成に活用

実践型人材養成システムに取り組んだきっかけは、タオル製造の訓練科を設置している今治高等技術専門校からの紹介でしたが、平成18年度に参加した愛媛センターの人材高度化研究会(*注2)の成果が、技術研修会や実践型人材養成システムの内容に活かされました。

特に、アンケートや職務分析によって、タオル生産に必要な知識、技能、技術が明確になり、技術研修会のコース設定、実践型人材養成システムの教育訓練カリキュラムの策定及び職業能力を評価する「企業実習評価書」の基になりました。

タオル製造企業実習評価書

人材高度化研究会の成果を活かして作成した実践型人材養成システム企業実習評価書(一部)

OJTとOff-JTを組み合わせた訓練の効果

四国タオル工業組合(「テクスポート今治」)

実践型人材養成システムは、OJT(*注3)とOff-JT(*注4)を効果的に組み合わせた教育訓練システムであり、長年、タオル製造に携わる人材を育成してきた今治高等技術専門校がOff-JTを担当しました。

この教育訓練システムでは、現場での仕事を裏付ける理論や技術をOff-JTで確認できますし、Off-JTで模擬体験をすることにより、初めての仕事でも戸惑うことが少ないなど、OJTとOff-JTの組み合わせによる教育訓練の効果は大きく、若者の定着にも期待できると考えられます。

技術の進歩に対応できる人材の育成

「テクスポート今治」内に展示されている織物機械の歴史

織機の技術も進歩しており、カン・コツを必要とする技能が少なくなっていますが、いくら技術が進歩しても変わらない必要な原理があります。

組合では、基本的な技能・技術と現場での最新技術を融合させながら、「タオルマイスター認定制度」を始めとする人材育成を継続的に取り組んでいます。

愛媛センターの支援

四国タオル工業組合の人材育成の取組は、中小企業が単独で取り組むことが比較的難しい人材育成を、組合が主導することにより業界全体の取り組みとした好事例です。

愛媛センターでは、人材高度化研究会の成果をもとに、技術研修会や実践型人材養成システムの計画、実施にあたって、訓練実施計画、訓練カリキュラム、職業能力評価シートなどの作成支援のほか、キャリア形成促進助成金の活用による訓練実施に関する経費助成等の支援を行いました。

今後も組合の人材育成の取り組みに沿った職業能力開発事業の活用を期待しています。

*注1 四国タオル工業組合
四国タオル工業組合は、昭和27年11月に発足し、現在の会員数は139社(平成20年3月31日)、1社当たりの従業員数が約20人の中小企業団体ですが、国内の半分を占める生産量を誇る地域産業団体として、タオル製造業に関する指導及び教育をはじめ、様々な事業を行っています。
*注2 人材高度化研究会
地域の人材育成システムの確立を目的として、都道府県センターが、地域の業種団体等と協同し、ニーズ把握から教育訓練コースの開発、実施等の取り組みを行ってきました。平成20年度以降は、実施内容を見直し「人材育成研究会」を実施しています。
*注3 OJT
on-the-job trainingの略。職務の遂行過程において行う職業訓練。
*注4 Off-JT
off-the-job trainingの略。職務を離れて行う職業訓練。