働く広場2015年5月号
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10働く広場 2015.5̶̶聴覚障害は外から見てわかりにくく、その人が抱えている困難もほかの人には気づかれにくい傾向がありますが、健聴者が誤解しやすいのはどのようなことでしょうか。水野 多くの方が聴覚障害者は、みな生まれたときから聞こえず、ろう学校に通い手話ができるというイメージを持っています。聴覚障害者といっても、聞こえにくくなった時期や聞こえにくさの程度、どんな場合に聞こえにくいのかといったことには違いがあります。手話についても、みんなができるわけではなく、日常的に使っている方から、まったくわからない方まで、いろいろな人がいます。̶̶聴覚障害者のコミュニケーションの手段は、手話のほかにも口話(相手の口の動きを読み取る読話と自分が声で話す発話)や筆談などがあります(グラフ1)。実際にはどのように使われているのでしょうか。水野 口話は広く使われていますが、例えば「コピー」と「ゴミ」のように口の形が似ている言葉はわかりにくいので、複雑なことは筆談が確実です。ただし、日本語の読み書きが苦手で筆談に消極的な人もいます。実際には、耳で聞くことや身ぶりなども加えて、複数の手段を組み合わせてコミュニケーションをしている人が多いです。どんな手段がよいのかは、人によっても、場合によっても違うので、まず本人に確認することが必要です。̶̶職場でのコミュニケーションについ聴覚障害者の職場コミュニケーション支援職場コミュニケーションの現状と課題聴覚障害は「コミュニケーション障害」ともいわれています。コミュニケーションは仕事だけでなく、人間関係を築くなど社会生活を送るうえでも重要です。本シリーズの第1回目は、職場でのコミュニケーションの実際や課題について、第一生命経済研究所で障害者や高齢者の問題について研究している水野映子さんにお聞きしました。Vol.1一人ひとりで大きな違いがある聴覚障害コミュニケーションの難しさが定着を妨げるNOTE企業などで健聴者と一緒に働いている聴覚障害者へのアンケートグラフ1 職場でのコミュニケーションの手段口話と呼ばれる「読話」と「発話」、メールは8割以上の人が使っていることがわかるいつも使うときどき使うグラフ2 コミュニケーションに関する問題の認識情報が遅れて伝わる、意見を言うタイミングがつかめないといった時間的なずれを問題としている人が多いグラフ3 どんなときに話の内容が理解できないかグラフ4 コミュニケーションの難しさによって生じる問題020406080100020406080100020406080100020406080読話(相手の口の動きを読み取る)発話(自分が声で話す)筆談相手の声を聞くこと手話メールチャット電話(%)020406080100020406080100020406080100020406080情報が自分に間違って伝わる情報がほかの人より遅れて伝わる自分の出した情報が間違って伝わる自分の意見を言うタイミングがつかめない健聴者との会話がかみわないよくあるときどきある一対一のコミュニケーションよりも、会議や雑談、研修など複数の人とのコミュニケーションで理解しにくいと感じている人が多いコミュニケーションの困難さから、スキルアップやキャリアアップが難しいと考えている人が多い020406080100020406080100020406080100020406080打合せや会議をするとき仕事中や休み時間に雑談をするとき社内研修を受けるとき健聴者と一対一で仕事の話をするときよくあるときどきある020406080100020406080100020406080100020406080昇進や昇格が難しい仕事の能力を高めることが難しい仕事上の人間関係を深めることが難しいやりがいのある仕事ができないそう思うややそう思う責任のある仕事が与えられない「聴覚障害者が働く職場でのコミュニケーションの問題」(第一生命経済研究所ライフデザインレポート2014.4)より(%)(%)(%)●ライフデザインレポートの掲載先 http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/report/rp1404a.pdf

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