働く広場2015年5月号
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11働く広場 2015.5て、聴覚障害者が共通して困っていることはあるのでしょうか。水野 仕事のときに情報がほかの人よりも遅れて伝わったり、発言するタイミングがつかめないなど、情報の受発信に時間的なズレが生じることや(グラフ2)、複数の人の会話で話の内容を十分理解できないということですね。会議などに手話通訳者や要約筆記者が入らない場合、職場の人がパソコンで発言を打ってくれたとしても、意味がよく伝わらなかったりします。また、研修に参加してもわからないし、OJTもうまく意思疎通ができないためスキルアップが難しく、昇進をあきらめてしまうということをよく聞きます(グラフ3、4)。 それから、聞こえないために社内のだれもが知っているような細かい情報を知らなかったり、雑談に入れなくて孤立しやすいということがあります。そんなことからすれ違いが生じて職場にいづらくなり、やめてしまう残念なケースをよく耳にします。̶̶聴覚障害者を雇用し、働き続けてもらうためにはどんなことが必要でしょうか。水野 まず、上司が聴覚障害について理解を深めることですね。聴覚障害者にもいろいろなタイプの人がいるので、自分の部下について理解して、その方に合った情報保障をすることです。ITの導入は会社にもよります。日ごろから、連絡や会議をメールやチャットで行っているところでは使いやすいでしょう。 聴覚障害者も自分からこうしてほしいということを上司や職場の人に伝えるのが望ましいです。しかし、本人に遠慮があってなかなか言い出せない場合もあります。面談などのおりに、事業者側が手話通訳者や要約筆記者の派遣を頼んだり、上司が支援者に第三者として入ってもらうことを依頼するのもいいでしょう。̶̶それぞれの働きかけでコミュニケーションをよくしていくことが必要ですね。本日はありがとうございました。周囲の理解と協力とともに本人の働きかけも大切職場全体の意思の疎通をよくすることを考えよう職場に聴覚障害者がいると、健聴者の間でも、「はっきり」、「ゆっくり」、「相手の顔を見て」話すなど話し方に配慮をしたり、音声だけでなく視覚手段も使ってわかりやすく伝える工夫をするようになることがあると水野さんはいいます。職場全体のコミュニケーションが改善されることによって雰囲気がよくなり、仕事への意欲も向上した事例があるそうです。第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部 研究開発室 上席主任研究員 水野映子 さん聴覚障害者とのコミュニケーションをスムーズにするために手話を使う聴覚障害者がいる場合は、あいさつなどができるとコミュニケーションのきっかけになる。顔を見ながら、ゆっくり、はっきり口を開けて話す。二重否定など複雑な表現は避けて、簡潔、明瞭な表現で。意味のまとまりごとに区切って発音する。聴覚障害者からも、聞こえの程度や配慮してほしいことを伝える。わからないことはくり返し確認をする。メモ、筆談器、筆談ボード、チャット、メーリングリスト、プロジェクターなどを活用して、情報の文字化、視覚化をする。●第一生命ライフデザイン研究本部 http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/index.html

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