働く広場2015年5月号
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23働く広場 2015.523として支援することで、ピアの視点を見失い、無意識のうちにスタッフ寄りの発言になっていることがあり、自分でもわからないその気持ちにとまどった」そうである。ピアとして寄り添うことと、スタッフとして成果を上げることの狭間で揺れ動くことは、ピアスタッフの多くが経験し、悩むことであろうと想像され、研修の中でも重要なポイントとなっている。Sさんは、「障害をオープンにして働くか、クローズで働くかを悩んでいた。障害者雇用枠と一般雇用枠の両方に登録し仕事を探していたが、一般求人では、自分の能力に合う仕事は見つからなかった。ハローワークの障害者雇用枠でこの仕事を知った。もともと教師を目指しており、自分の障害についても勉強していたので、ピアスタッフの仕事は自分の経験と勉強してきたことが生かせると思った」と話してくださった。いまでは、「ピアスタッフは自分に合った職種と感じ、やりがいを感じている」と、やさしい笑顔でいう。「あなた昇進したのねと皮肉を込めていわれたときは辛かったが、頑張ってね、といってくれる人もいる」と複雑な心境もうかがった。徐々に勤務日を延ばして、1月からは週5日のフルタイムとなり、自信になっているそうである。最後に、2人の雇用管理をしている内布啓之さんに、ピアスタッフが1人から3人に増えて何が変わったかお聞きした。「役割分担できるようになった。女性がいることで、男性の自分はわからないことに気付いてくれるし、自分は指導者としての業務が増えてきたが、2人がピアスタッフとして、利用者に寄り添った支援をして、仕事の分散ができるようになった。互いに影響し合えるのはいい効果があるし、ピア同士だからこそ伝えやすいことがある」と複数職場のメリットをお話しくださった。お話をうかがううちに昼休憩はとっくに終わり、利用者はひじきの選別と、パック詰めの準備に入っており、藤崎さんとSさんも作業に入っていかれた。2人は、来年度も引き続き契約更新を検討されているそうである。医療法人蒼風会は192床のこだま病院や、精神科訪問看護のほか、障害者福祉サービスのグループホームを運営し、系列の社会福祉法人では、就労継続支援B型事業所や、地域活動支援センターなどを経営する法人である。病院のある丘から下った交差点の幹線道路沿いに、こだま病院のデイケアの人たちの社会参加の場として、理事長が中心となって作った有限会社萌の事業所「店遊び萌」がある。今回雇用された2人はピアサポーターとして、店舗運営をする当事者をサポートしている。この事業所は、市民が作品を展示したり、趣味の教室を開催できるギャラリーと喫茶店部分が約3分の2を占め、3分の1が、医療法人蒼風会 ※2 精神障害者アウトリーチ推進事業……厚生労働省が推進する精神障害者に対する訪問(アウトリーチ)支援事業。精神科医、保健師、看護師、精神保健福祉士、臨床心理士、作業療法士、相談支援専門員など専門職や精神疾患を経験したピアサポーターも一員となるアウトリーチ・チームが、一定期間、アウトリーチ支援を行うことにより、新たな入院や再入院を防ぎ、在宅生活が維持できるよう、2011年度から試行的に実施しているもの常清会 就労支援事業所ライダーひじきの選別作業をする利用者とともに、ピアサポーターとして作業をする藤崎周太郎さんたち武田委員に作業を説明する内布啓之さん(右)こだま病院児玉圭院長

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