働く広場2015年5月号
30/36

28働く広場 2015.5研レ究ポ開ー発ト精神障害者の就労支援における医療と労働の連携のために―就労支援機関等における就職困難性の高い障害者に対する就労支援の現状と課題に関する調査研究より―障害者職業総合センター研究部門 社会的支援部門精神障害者への効果的な就労支援として、保健医療・生活支援分野と労働分野が、就職前から就職後まで密接に多職種チームとして継続的に支援することがポイントであることが多くの研究で明らかになっています。両分野の具体的な連携体制構築が今後の大きな課題です。そのため、本調査研究では、精神障害者の治療と仕事の両立を支えるための両分野の関係機関の支援内容と問題解決状況などについての郵送アンケート調査を行い、労働関係機関の精神障害者支援担当者1153名(回収率58%)、および、精神保健医療機関の就労・生活支援担当者859名(同20%)の回答を得ました。調査結果から支援内容と問題解決状況の関係を分析したところ、現在、労働と精神保健医療の両分野の専門性を発揮した効果的取組みが多くみられる一方で、片方の分野だけでは対応が困難な支援困難状況が明らかとなりました。精神障害者の治療と仕事の両立を支えるために、両分野が補完し合う支援体制が重要といえます。1 労働と医療の各分野での効果的取組み効果の高い支援の特徴として、労働、医療の各分野とも、精神障害者が疾患管理と職業生活を両立させるための多様な困難課題を理解したうえで、それぞれの専門性を発揮し支援を行っていました。(1)労働分野における効果的取組み労働分野での効果的取組みには、具体的な個別の職業課題への支援、早期からの予防的対応、医療・生活支援との密接な連携がありました。〈具体的な個別の職業課題への支援〉◆「どのような仕事で働けるかわからない」という精神障害者の多くにみられる課題に対して、「興味や強みを活かせるような職業相談」「医師の意見書等による情報収集」、「職場実習やトライアル雇用」が効果的でした。◆「就職活動」、「企業への病気等の説明」における課題に対して、「職業準備支援」、「職業紹介」、「就職面接等のロールプレイ」、「興味や強みを活かせる職業相談」、「適正配置等についての職場への情報提供」が効果的でした。◆「就職後の疾患管理、職務遂行、人間関係」の課題に対して、「ジョブコーチ支援」、「リワーク支援」、「就職後の問題発生時の対応体制」、「仕事と治療の両立スキル支援」、「職場開拓」、「無理のない仕事や職場の留意事項の助言」、「地域生活や人間関係の支援」が効果的でした。〈早期からの予防的対応〉◆ 就職前の早い段階から「就職後の問題発生時の対応体制」、「勤務時間と通院時間の調整」に取り組むことは、「就職活動」における雇用主の懸念への予防的対応として効果的でした。◆「患者家族への情報提供や相談対応」は、就職前から就職後までのさまざまな課題に対して効果的でした。〈医療・生活支援との密接な多職種連携〉◆ 精神障害者の医療・生活・就労の複合的支援ニーズに対して、労働分野内でも、ハローワーク(職業紹介等)、障害者職業センター(職業評価・準備支援等)、障害者就業・生活支援センター(継続支援等)、就労移行支援事業所(医療・生活支援等)のそれぞれの役割・機能を発揮して連携していたり、医療機関との役割分担がある場合、多くの効果が認められました。(2)保健医療分野における効果的取組み保健医療分野では、精神障害者の職業生活場面における課題の理解に基づく専門的医療・生活支援が、効果的な就労支援となっていました。〈精神障害者の職業生活場面での課題の理解〉◆「同病の就労者との交流機会の設定」、「模擬的就労場面や職場実習」、「職場実習やトライアル雇用での職業評価」の取組みは、各精神障害者の「どのような仕事でなら働けるのか」という課題、「就職活動」の課題に効果的でした。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です