働く広場2015年5月号
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3働く広場 2015.5の仕組みも北山氏から教わったもの。文字通り私たちの師匠であった。JSNの理事もしていただいたが、激烈な闘病生活の後、亡くなられた。もっと教えていただきたいことが山ほどあった。なんとも残念至極である。しかし、北山氏の心意気はいまでもしっかりJSNにすり込まれていると思っている。このほかにも、障害者雇用を熱心に行ってこられた企業の社長さん、就労支援機関や行政に関わってこられた方など大勢の方々にお世話になった。この誌面をお借りし、感謝の意をお伝えしたい。JSNとこれからの精神障害者就労支援JSNからは7年間に200人を越える就職者を送り出した。当然のことであるが、全員、最低賃金を超える賃金を得ている。JSNは「定年退職まで支援する」というスタンスをとっているが、6カ月以上の職業生活の継続率は約8割弱となっている。もはや、精神障害者の就労がむずかしいなどといっていられない時代になってきたが、まだまだ精神障害者就労支援には課題が多い。精神障害者は就職しても辞めてしまうことがほかの障害者に比べて多いといわれている。いかに職業生活の継続を支援するかである。今春改定となる障害福祉サービス等報酬議論のなかでも、このことが取り上げられている。これまで、就労移行支援事業所は就職後6カ月まで経過を見ればよいという構造であったが、もっと先まで経過を見るべしという改定案である。JSNがこれまで一貫して主張してきた内容が、このような形で具体化するのは大変よろこばしいことと思う。JSNでは、ジョブコーチをフルに活用し、就職後も個別の相談・支援を行っている。また、企業担当者と就職した当事者が、よいコミュニケーションを図り、よりよく理解できるように、奥進システム(JSNの監事である奥脇社長の会社)と共同でSPISというツールを開発した(詳細は「働く広場」2015年1月号を参照)。SPISはとてもシンプルで、継続的に使用できる、就労支援の現場が考えた大変実用的なツールである。ぜひお試しいただきたい。就職後6カ月たったら何の支援もせず、そのままほったらかしにする就労移行支援事業所もあるようだが、精神障害者を雇用し、なんとか定着してほしいと孤立無援で努力する企業の現状を考えてみるべきだろう。そして、仕事を辞めざるをえなくなった精神障害者の身になって考えれば、なおさら就職後6カ月でほったらかしにはできないはずである。いろいろと好きなことを書いてしまった。気分を悪くされた向きにはお許しいただきたい。JSNはこれからも初心を忘れることなく、精神障害者の就労支援に取り組んでいきたいと考えている。田川精二(たがわせいじ)1951(昭和26)年生まれ、64歳 精神科医。大学病院精神科助手を経て、地域で重度の精神障害者を診ていきたいと、友人と精神科診療所(東大阪市・八戸ノ里クリニック)を開設。1989年、くすの木クリニック開設。大東市を中心に地域精神科医療を展開する。2007年、通院する精神障害者らの「働きたい」という強い希望を感じ、関宏之氏、相沢欽一氏、北山守典氏らと精神科診療所の医師を中心としたNPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク(JSN)を設立し理事長に就任。厚生労働省「障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会」委員(2012年)など歴任。

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